PINAREE SANPITAK
ピナリー・サンピタック
ピナリー・サンピタック「乳房の果実」
タイを代表する現代アーティストピナリー・サンピタックは、ひとりの女性である彼女自身の投影として乳房のモチーフを作品の中で長年用いてきました。この乳房のモチーフは、絵画や彫刻、インスタレーションといった多彩な表現形式で扱われ成長してきましたが、それはこの女性の身体的特徴を強く表すシンボルによって引き起こされる様々な感覚を通し、人の知覚や与えられた環境に対する態度を拡大させる試みとして意図されています。こうした傾向は彼女の近作、例えば昨年の横浜トリエンナーレにて紹介された巨大な乳房状のクッションによる空間インスタレーション「ヌーン=ノム」や、同じく乳房の形をした料理の型を用いたプロジェクト「乳房のストゥーパ・クッカリー」など、オーディエンスの干渉する余地を残したある種の柔軟性の中に見て取ることができます。
今回展示する「乳房の果実」は、布と焼き物という2つの異なる素材で作られた作品で構成されます。垂れ幕のように吊るされた布のシリーズでは、タイ北部の山岳民族による手織りの麻布が用いられており、そこから糸を一本一本抜き取ることにより、またはそこに金糸や銀糸で刺しゅうを施すことにより「乳房=果実」のフォルムを浮かび上がらせています。また、巨大な木の実を思わせるテラコッタのシリーズでは、個々に色合いも質感も異なる釉薬が用いられてお り、あたかもおとぎ話の森の中に迷い込んだかのようなユーモラスな錯覚を与えてくれます。
共に手仕事の暖かみを強く感じさせるこれら果実のオブジェたちは、多様な味わいでご来場の皆さまの視覚を満たしてくれることでしょう。どうぞご高覧ください。
____________________
会 期: 2006年2月16日 [木] 〜 3月26日 [日]
火 - 土 12:00-19:00 日 12:00-17:00 / 月休、11月23日 [火・祝] は開廊
JP / ENG
Works
2005年、麻布に刺繍、幅35cm
2005年、麻布から抜糸、幅35cm
2005年、麻布から抜糸、幅35cm
2005年、麻布に刺繍、幅35cm
2005年、テラコッタ、釉薬、高29cm/径21cm
2005年、テラコッタ、釉薬、高29cm/径20.5cm
2005年、テラコッタ、釉薬、高27cm/径20cm
2005年、テラコッタ、釉薬、高27cm/径24cm